ネットスターズ(5590)が9月26日、グロースに新規上場した。様々なQRコード、クレジットカード、電子マネーの決済を1つのアプリでできるマルチ決済サービス「StarPay」を提供している。初値は公開価格を8%下回る1334円。上場当日の記者会見で李剛代表取締役社長CEO=写真=、長福久弘取締役COO、安達源取締役CFOが語った内容のポイントは次の通り。
コード決済のパイオニア……(李社長)李剛の名前で分かるように私は中国出身。2005年に日本に帰化した。ネットスターズはダイバーシティという特徴があり、私含めていろいろな国出身者が働いている。09年にこの会社を作った。中国のテンセントとつながりがあり、中国でWeChat Pay、アリペイがいきなり普及して、普通の人の生活がキャッシュレスで便利になった。このサービスは日本でもチャンスがあると思い、15年にWeChat Payを日本に持ってきた。日本で初のQR決済だったので、業界ではコード決済のパイオニアと呼ばれている。日本のキャッシュレスをもっと普及させる、店舗DX(デジタルトランスフォーメーション)を進化させるという使命感をもちながら、今後もやっていく。
3つの事業が柱……(長福COO)決済、DX、グローバルの3つの事業が柱。決済事業はWeChat Payの導入を皮切りに、現在は10カ国29のペイメントに対してつなぎこみを行い、日本のキャッシュレス推進を行っている。QRコードに加えて、クレジット、電子マネー、共通ポイントのつなぎこみも行い、マルチペイメントの事業展開をしている。DXは省人化をキーワードにさまざまなプロダクトを展開。例えば羽田空港のECサイト、JTBのチケッティング、スーパーのモバイル会員証サービスなどを開発、提供している。グローバル事業は、グローバルペイメント事業と国内インバウンドプロモーションを展開。グローバルペイメントはカタール空港で提供している。
来年以降の早期黒字化目指す……(安達CFO)日本に根差したフィンテックでありながら、売上成長がしっかりできているのがウリ。成長性を担保しながら、まだ赤字上場なのでなるだけ早く黒字化への道筋を示して、より信認いただけると思っている。単月黒字は実績として達成している。来年以降早期に通年黒字化を目指す。
米中の最先端技術をいち早く活用……キャッシュレス市場は力強く伸びているが、我々はQRコードの成長率よりもはるかに売り上げを伸ばしている。市場から一番信認されているのは我々のシステムがフルクラウドネイティブかつコンテナ技術を携えている唯一のペイメントだから。他社はオンプレミスなどにとどまっているが、我々はかなり多大の決済量を取り扱っても、安定している。世界最先端の技術で売り上げを伸ばし、黒字化への軌跡につなげたい。
(李社長)我々は技術力が強い。中国、アメリカの最先端技術をいち早く日本にもってくる。そのため、決済成功率は99・99%と業界のトップクラス。決済1回あたりのコストも0・18円と極めて低いのも特徴
DX、グローバル事業で先手……(安達CFO)キャッシュレス事業は現在複数の収納代行会社がある一方、日本のキャッシュレス比率は34%しかないため、タフな競合環境までは来ていない。DX事業は決済ゲートウェーとして10個以上DX商材を提供できる稀有な会社。競合はより少ない。グローバル決済はカタールのほかモンゴル、カンボジアに展開している。競合はほとんどおらず、地元の大手銀行ともパートナシップとっている。キャッシュレスが競争過多になっても、DX、グローバルで先手を今打てているので、対応できる会社にするのが成長戦略の屋台骨になる。
外部環境厳しく公開価格割れ……(初値は公開価格を下回ったが)今のマーケット環境はIPO市場全般に加え、特に決済銘柄は大手のオランダのアディエンが8月中旬に株価が半分まで下落した。そこから他社も下げていった。強引なプライシングとの認識はないが、足元は軟調なマーケット。ただ、外部環境を含めたマーケットの評価だと思うので真摯に受け止めたい。